- キッチンの人工大理石に重曹は使えるの?
- 重曹やクエン酸はどうして環境にやさしいの?本当に汚れが落ちる?
- 100円ショップの重曹は掃除に使える?
重曹・クエン酸・酸素系漂白剤などの環境負荷の少ないものを使い、合成洗剤を使わない掃除の方法を『ナチュラルクリーニング』や『エコそうじ』といい、近年とくに注目が集まっています。キッチンは食品をあつかうため、ペットやお子さんのいる家庭で、とくに希望する方が多くなっています。
いいことばかりで実践したくなるナチュラルクリーニングですが、大理石の汚れ落としには使えるのでしょうか。
一般的には大理石への重曹・クエン酸などの使用は難しいのですが、キッチンで使われる樹脂製の大理石(人工大理石・人造大理石)では、注意をすれば使えることがあります。
重曹を人工大理石・人造大理石に使う場合の注意点
- 必ず薄めて使う
- 目立たないところで試してから使う
- 毎日の掃除に使用しない
- 成分を残さないように十分洗い流す(拭く)
キッチンの人工大理石にしか使えないの?
樹脂製であっても、キッチンや浴室などの用途によって成分が違うことが多いので、キッチン以外ではおすすめしていません。
くわしく解説していきます。
この記事では、住宅設備メーカーの勤務を経て、現在子育て中の私が、重曹・クエン酸などのナチュラルクリーニングについて解説します。
これを読めば、大理石への重曹・クエン酸の正しい使い方が分かるので、ぜひ参考にしてください。
キッチンカウンターについては、こちら≫大理石のキッチンカウンターについて徹底解説! で詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
『大理石』の汚れに重曹・クエン酸を使った掃除はNG?注意することは
大理石には種類があり、それぞれ掃除方法が変わります。ナチュラルクリーニングにも向かないものがあるので、重曹が使えるかの判断は、まずは素材を知ることから始まります。
人工大理石・人造大理石・大理石など、素材の違い
大理石は大きく分けて、人工大理石・人造大理石・天然大理石の3種類があります。この3種類は浴槽・洗面台・キッチン・家具などのすべてに共通しています。
くわしくは大理石のキッチンカウンターの素材についてで解説していますが、簡単にまとめます。
人工大理石
- アクリル系・ポリエステル系などの樹脂を成形したもの
人造大理石
- アクリル系・ポリエステル系などの樹脂を成形したもの
- 天然鉱石と樹脂・セメントなどを混ぜて成形したもの
大理石(天然大理石)
- 天然の岩を加工したもの
同じ樹脂製であっても、人工大理石・人造大理石と別れている理由は人工大理石と人造大理石の違いで解説しています。
大理石への重曹・クエン酸などの使用は、なぜオススメできないのか
重曹・クエン酸は、ほとんどの大理石で使用が推奨されていません
大理石(人工大理石・人造大理石も含む)は中性洗剤での掃除を推奨しているため、『アルカリ性の重曹』・『酸性のクエン酸』は素材を傷める可能性があるため、使用をおすすめしていません。
近年の樹脂製大理石(人工大理石・人造大理石大理石)には酸性・アルカリ性につよい製品もあり、気をつけて使えば問題ない場合もあります。使用を希望する場合は、製造メーカーに確認しましょう。
重曹 | クエン酸 | 酸素系漂白剤 | |
---|---|---|---|
大理石(天然鉱石) | × | × | × |
人造大理石(天然鉱石+樹脂) | × | × | × |
人造大理石・人工大理石(樹脂) | △ | △ | △ |
クォーツストーンなど、天然鉱石が含まれるものには使えません。
樹脂製であることを確認しましょう。
キッチンの人工大理石・人造大理石では使える場合もある
人工大理石・人造大理石は中性洗剤の使用を推奨していますが、キッチンの人工大理石は、調味料・食材が触れるため、浴室・洗面台の人工大理石よりも、酸性・アルカリ性に強く造られています。
そのため、実際は、重曹・クエン酸なども薄めて使用し、しっかりふきとれば問題ない場合が多いのですが、研磨と同じく、濃色、ツヤ・鏡面加工、特殊コーティングがある場合は使用できません。
メーカーが推奨していない場合は、トラブルがあっても保証対象外になることがあります。重曹・クエン酸などの使用は自己責任になるので、理解して使いましょう。
※TOTOは人工大理石シンクに重曹を使用することを推奨しています。
重曹+お酢でもOK
シンク キッチン お手入れ点検・点検 お客様サポート TOTO公式HP 2022/05
ぬらしたスポンジに重曹をとって磨き、その後お酢をたらしたぬるま湯で拭きます。
重曹 | クエン酸 | 酸素系漂白剤 | |
---|---|---|---|
人工大理石・人造大理石 キッチンカウンター・シンク | 〇 | △ ※特に注意して使う | 〇(薄め液) |
人工大理石・人造大理石 キッチンカウンター(濃色・ツヤあり) | × | × | × |
重曹・クエン酸などで人工大理石・人造大理石の汚れを落とす場合の注意点
解説したように、人工大理石・人造大理石では重曹などを使用できる可能性がありますが、粉のまま使用すると、クレンザーでこすったような跡になることがあります。
大理石と名前がついていますが、樹脂製であることを意識して重曹・クエン酸を使いましょう。
正しい使い方でキレイを長く保つことができます。
重曹・クエン酸・酸素系漂白剤などを使う場合の注意点
- 必ず薄めて使う
- 目立たないところで試してから使う
- 毎日の掃除に使用しない
- 成分を残さないように十分洗い流す(拭く)
変色・質感の変化を起こしにくい使い方を心がけましょう。
重曹・クエン酸などをくわしく解説していきます。
重曹を使った人工大理石・人造大理石の掃除
重曹とは「重炭酸ソーダ」の略で、炭酸水素ナトリウムのことです。白色の粉末で、純度と粒子の細かさで『薬用・食用・工業用』に分かれています。掃除・調理・消臭・美容など多くに使うことができますが、この記事では人工大理石・人造大理石での掃除について解説します。
メーカー推奨でない場合は、目立たない場所で試してから、自己責任で掃除・お手入れをしましょう。
重曹のおもな特徴
- 油汚れ・皮脂汚れなど、酸性の汚れを中和して落とすことができる
- 水と合わせると粒子が丸くなり、磨くものの表面を傷をつけずに汚れを取り除くことができる
- 悪臭成分を中和して取り除くことができる
- 自然由来の無機物なので、環境にあたえる影響が少ない(赤ちゃん・ペットにも◎)
- 安価で、100円ショップでも手に入る身近な存在
- 加工していない木製品・アルミ・革製品などは変色するため使用できない
重曹を水に溶かして使う(重曹水)
重曹を薄めて使用することで成分が薄まり、人工大理石・人造大理石を傷めにくい掃除ができます。
中性洗浄剤で落ちない油汚れもこすらずにスッキリおちるので、落ちにくい場合汚れの場合に試してください。
重曹水の作り方
- 500CCの水に大さじ2杯の重曹の粉を入れる
- スプーンでよく書けまぜて溶かす
- スプレーボトルに入れる
掃除・お手入れ方法
- 乾いた汚れ面にスプレーして、1分ほど置く
- 布巾などで汚れをやさしくこすり落とす
- 重曹成分が残らないように洗い流す(ふき上げる)
重曹と水を混ぜて使う(重曹ペースト)
人工大理石・人造大理石に重曹ペーストを使うと、磨くものの表面を傷をつけにくくなります。黒ずみや黄ばみなどにクリームクレンザーをの代わりに使ってみましょう。※使ったところの質感が分かることがあります。
重曹ペーストの作り方
- 重曹の粉を小皿などの容器にとる(使用する分だけ)
- 重曹3:水1の割合で、水を加える
- ペースト状になるまで、よく混ぜる
掃除・お手入れ方法
- 乾いた汚れ面に重曹ペーストを置く
- 湿らせたスポンジでやさしくこする
- 重曹成分が残らないように洗い流す(ふき上げる)
クエン酸・酸素系漂白剤を使った人工大理石・人造大理石の掃除
ナチュラルクリーニングでよく使われ、重曹と合わせて使うことで洗浄効果がアップするものに、クエン酸・酸素系漂白剤があります。
人工大理石・人造大理石に使う場合、メーカー推奨ではないことが一般的です。目立たない場所で試してから掃除・お手入れを行いましょう。この記事では、成分やおすすめの使い方を解説します。
クエン酸とは
柑橘類などの自然由来の有機化合物のことです。酸性なので、アルカリ性の汚れを中和したり、消臭の効果があります。
アルカリ性の水垢などを落とす効果がありますが、使い方を誤ると、人工大理石・人造大理石の表面を傷めることがあるので、特に注意が必要です。使う場合は必ず薄めて使い、成分が残らないように洗い流しましょう。
クエン酸水の作り方
- 200㏄の水に小さじ2杯のクエン酸を入れる
- スプーンでよく書けまぜて溶かす
- スプレーボトルに入れる
水垢が気になるシンクのお手入れ方法
- 重曹水・重曹ペーストを置き、スポンジでこする
- クエン酸水をスプレーする
- 水で洗い流し、拭く
酸素系漂白剤とは
過酸化水素を元につくられ、粉末のものは過酸化水素と炭酸ソーダからできています。(過炭酸ナトリウム)
色素を別の物質に分解する漂白効果があります。オキシクリーンで、界面活性剤が入っていないものは酸素系漂白剤と同じものになります。
酸素系漂白剤は、重曹より強いアルカリ性なので、粉のまま掃除に使うと人工大理石・人造大理石の素材を傷め、質感が変わる可能性があります。必ず製品表示通りに薄めて使い、使用時間も守ります。
キッチンシンクで使う場合の注意点は大理石キッチンの掃除・お手入れ方法を解説!【シンク編】を参考にしてください。
重曹と酸素系漂白剤を1:1で混ぜて、水(ぬるま湯)を足して溶液にしたものはキッチンカウンター・シンクのシミ落とし・カビ取りにも使えますが、素材を傷めることがあるので、必ず目立たない場所で試してから使いましょう。
『重曹=アルカリ性』『クエン酸=酸性』中性ではないので要注意
ナチュラルクリーニングに使う重曹・クエン酸などは、アルカリ性(弱アルカリ性)・酸性(弱酸性)のため、毎日のお手入れには向きませんが、条件のあう人工大理石・人造大理石では汚れが目立ったときに使うことができます。
中和して汚れを落とすので、強く擦らずに汚れを落とすことができ、場合によってはとても有効です。
キッチンの人工大理石・人造大理石、樹脂製、うすい色、ツヤなしなど、使う条件はありますが、重曹でなにより良いのは口にしても安全な素材であること・環境にやさしいことです。
気をつけることはありますが、これらの条件はクリームクレンザー・塩素系漂白剤でも同じです。
- 『重曹=アルカリ性』『クエン酸=酸性』なので、人工大理石へは薄めるか短時間で使う
- 目立たない場所で試してから使用する
- 毎日の掃除には使わず、汚れが目立ってきた時だけ使用する
- 成分を残さないように十分洗い流す(拭く)
人工大理石・人造大理石だけではなく、排水口・水栓金具(蛇口)・レンジフード・食器など、家中の掃除・クレンザー代わりの研磨に使えるので、手元にあると便利です。
まだ使った事のない方は一度試してみてはいかがでしょうか。