- 水まわりの大理石、だんだんツヤが無くなってきたみたい。コーティングでよくなるのかな?
- お手入れが大変そうだから、新品のうちにシンクにコーティングしておきたい。
- SNSで撥水コーティング剤を使ったら掃除がラクになるっておすすめしていたけれど、使っていいの?
コーティング剤を使ってお掃除がラクになるといいな。
毎日のお掃除が少しでもラクになるとうれしいですよね!
でも、注意点があるので説明していきます。
この記事では、住宅関係で10年以上の勤務経験のある私が、メーカー目線で近年人気の高まっている大理石へのコーティングについてくわしく解説します。
コーティングやワックスの問い合わせというのはとても多く、トラブルにつながることもよくありました。これを読んでコーティングで失敗する人が減ってほしいと思っています。
コーティングで失敗しないためにどうしても伝えたいことは
- 安易に市販品のコーティング剤を塗るのはやめる
- 製造メーカーにお手入れ方法を聞いてみる
この2つです。本文ではさらに詳しく解説していきます。
大理石浴槽については、こちら≫大理石の浴槽について徹底解説!で詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
大理石・人工大理石・人造大理石でコーティング剤をおすすめしない理由
ネットでは『シンクの掃除がラクになった』『水をはじいて気持ちがいい』『新築で住みだしたらすぐにコーティングして』などの感想がありますが、あくまでも個人の感想ですので信用しすぎないでください。
買ってきたコーティング、さっそく塗ってみるよ。
ちょっと待ってください!
まずは使えるかどうか、製造メーカーに聞いてみましょう
メーカーによってはツヤが無くなった場合のオススメのワックスなどを紹介してくれることもあります。
自己判断する前に製造メーカーに確認しましょう。
新築のオイル仕上げのフローリングに市販ワックスを塗るという大失敗をした私が言えることではありませんが、失敗したから分かります。ちょっとでも不安に感じたら、メーカーに問い合わせが鉄則です。
大理石のメーカー比較について詳しく紹介した記事もあるので、ぜひ参考にしてください。
人工大理石・人造大理石へのコーティング
コーティングはできる場合がありますが、メーカーが勧めていないコーティングは保証対象外となります。
人工大理石・人造大理石は大理石に似せてつくった樹脂製のものです。耐薬品性・耐汚性に優れ、あつかいやすいことが特徴ですが、材質やコーティングは製造メーカーによってさまざまです。
人工大理石と人造大理石の材質・メーカーの違いなどはこちら≫人工大理石と人造大理石の違いについて解説!2022年保存版を参考にしてください。
メーカーは出荷する商品で、強度・耐熱性・耐薬品性など試験をしていますが、コーティングで試験結果が変わることもあります。メーカーでコーティングをしている場合は、コーティングの効果が生きてこないこともあります。
コーティングを自分で塗ることで、トラブルがあってもメーカーの保証対象外になることを分かった上で行いましょう。
大理石へのコーティング
コーティングはできますが、プロに任せた方がよいです。
ここで説明する大理石とは天然の石を加工したものです。石灰岩(炭酸カルシウム)が主成分となり、酸性やアルカリ性に弱く、とてもデリケートなものです。
大理石の場合、石材専用のコーティングが必要になります。ツヤを戻すために研磨することもあり、専門知識のあるプロに任せましょう。
大理石の研磨について紹介した記事もあります。ぜひ参考にしてください。
※人造大理石で天然石が含まれるものも同じです。
やっぱり自分で大理石にコーティングしたい!失敗しないためのポイント
おすすめしないと言っても、やはり手軽なコーティングで効率よく掃除したい場合があると思います。天然大理石は難しいですが、人工大理石であれば自分でコーティングできるものもあります。
注意事項や市販品の解説をしますが、コーティングは自己責任になるので、参考としてみてください。
ツヤのある人工(人造)大理石
表面にツヤのある場合、特殊なコーティングではないか確認しましょう。
汚れを落としやすいような撥水コーティングや親水コーティングの場合、コーティングの効果が無くなったり、自分で塗るコーティング剤がきれいに塗れないなどのトラブルになることがあります。
特殊なコーティングではない場合、自己責任ですが使ってもいいと判断できます。
市販品の説明書に『人工大理石への使用』の表記があることを確認し、目立たないところで試してからコーティングを行いましょう。
ツヤのない人工(人造)大理石
あえてツヤ消しになっていることが多く、コーティングはおすすめしません。
キッチンに多いのですが、あえて表面から内部まで同一の加工でツヤ消しになっているタイプです。ツヤがないので鏡面反射がなく、水あかや手あかなどが目立ちにくいことが特徴です。
多少の傷や汚れをメラミンスポンジやクリームクレンザーで研磨して落とすことができるので、コーティングをしてしまうと製品の良さが半減してしまいます。
透明感のある人工大理石(TOTOクリスタルカウンターなど)はコーティングで外観が大きく変わってしまい、元に戻すことは困難な場合があります。絶対にやめましょう。
洗面台・シンク・床・テーブルなど、コーティングする場所で注意すること
大理石を使用している場所によってコーティングの向き・不向きがあります。あらゆるところに使われている大理石・人工(人造)大理石の代表的な場所で解説します。
洗面台などの水まわり
水まわりは人工大理石・人造大理石の採用が多いです。場所によって材質も変わってきます。
- 洗面台・洗面カウンター
設備の中では特殊コーティングも少なく、コーティングしやすい場所といえます。自己責任ではありますが、コーティング検討中の方は試してみてもいいかもしれません。
- キッチンカウンター・シンク
カウンター表面の耐熱性が高く、熱い鍋などを多少置いた程度で問題ないほどです(日常使いでは鍋敷きを推奨しています)。そのため、コーティングによってメーカー説明の使用感が変わることが考えられます。食品を扱う場所でもあるので、自己責任とはいえコーティングをすることは慎重に判断してほしいです。
- 浴室・ユニットバス
浴槽はツヤありが多く、特殊なコーティングも少ないですが、肌に触れたり長時間お湯をためるという点から慎重に判断してほしい場所です。
浴室内のカウンターが人工大理石でツヤ加工の場合、コーティングもよさそうです。
内装床・外装床
床は天然大理石を使っている場合が多く、コーティングで汚れを防止したいというニーズも多い場所です。
しかし、もともとワックスが塗ってあれば剥がす必要がありますし、あらたにコーティングすることで滑るようになると困ります。自分でのコーティングは難易度が高く、専門業者など石材の知識のある人に頼むことをおすすめします。
テーブルなどの家具
テーブルなどの家具や生活雑貨など、大理石を使った製品は数多くあります。
雑貨や小物はめずらしく感じるかもしれませんが、高級感があり美しいものです。
おすすめの天然大理石の製品はこちら≫Marblestを参考にしてみてください。
家具の天板などは人工(人造)大理石製もありますが、家具・雑貨類の多くは天然大理石で、ツヤがなくなることがあります。
市販品で簡単にコーティングできればよいのですが、天然大理石か人工大理石かの判断さえ難しい場合もあります。製造メーカーへの問い合わせをしてメンテナンス方法を必ず確認しましょう。
撥水コーティング剤を使ってみて感じたこと
市販のコーティングはブームといってもいいほど品揃えが多いです。
洗面まわりのコーティングの一例です。よく見ると人工大理石・人造大理石への使用がNGとなっているものもあるのでよく確認して購入する必要があります。
メーカーはおすすめしていませんが、自宅で使えそうなコーティング剤を試してみました。
試してみると、車の撥水コーティング後のように水をはじいて、水滴は粒になって流れていきます。
毎日の掃除はラクになりそうです。
車のコーティングと同じですが、水滴が蒸発したあとが丸く残るので、黒っぽい色のカウンターは拭き上げないと目立つかもしれません。
ワックスという選択も
メーカー推奨品として、ワックスを案内していることがあります。
コーティングは製品の表面に樹脂製の層を重ねるものですが、ワックスは蝋や油脂成分のものを塗りツヤなどを出すものです。
メーカーが勧めているワックスの例を紹介します。
- キッチン:トクラス マーブルワックス
主成分はシリコーン樹脂です。 食品衛生基準を満たしているため、キッチンカウンター、シンクの使用においては 人体に影響はございません。
マーブルワックスの成分について教えて下さい。FAQ トクラスHP 03/2022
- 洗面カウンター:研磨剤の入っていないカーワックス(ピカールブライターワックスなど)
ロウ及びシリコーンの含有量の多いツヤ出し専用ワックス
ブライターワックス特徴 日本磨料工業株式会社HP 03/2022
ノーコンパウンド
適しているもの:真ちゅう、銅、ステンレス、アルミ、スズ、鉄等の金属やプラスチック類
ピカール液使用に適しているもの適さないものについて教えてください。よくあるご質問 日本磨料工業株式会社HP 03/2022
ツヤが無くなってきたと感じるとき、コーティングではなくワックスも検討してください。おすすめのワックスを案内してくれることがあるので、まずは製造メーカーに問い合わせをしましょう。
大理石へのコーティングは特性を理解して慎重に!
大理石といっても材質もさまざまです。安易にコーティング剤を使わず、まずは材質を調べることから始めましょう。
基本的なことですが、メーカーが製品として出荷したもの(状態)が完成品です。
お手入れのしやすい製品を送り出しているので、『コーティング剤を塗らないといけない』なんてことはありません。
それでもコーティングする場合、メーカーの保証対象外になることを理解した上で、自己責任で行ってください。
コーティングをするときに確認するのは主に3つです。
- 大理石(天然石)か人工大理石(樹脂製)か
- ツヤ加工されていて、かつ特殊なコーティングではないか
- 人工大理石に使えるコーティング剤か
コーティング剤は使う場所や製品によって変わります。
失敗や後悔しない一番の方法はとにかく慎重になることです。
市販品やメーカー推奨品の特性を理解して、大切な大理石に合ったお手入れを探しながら使っていきましょう。