- 大理石・人造大理石・人工大理石の浴槽があるみたいだけど違いがよく分からない。そんなに違うものなの?
- 大理石浴槽の掃除やお手入れはどうやったらいい?
- どんなメーカーが扱っているの?高価なものなんでしょ?
大理石・人造大理石・人工大理石の浴槽について、いろいろ知りたいな!
人工大理石や人造大理石ってよく聞くけど、そもそもどんなものかあまり分からないですよね?
購入を検討中の方も使用している方も、できるだけ分かりやすく、違いや取り扱い方法を解説していくので参考にしてくださいね。
この記事では、住宅設備メーカー・ハウスメーカー勤務を15年以上経験している私が、材質の違いや、メーカー目線でのお掃除方法などを、実際にあった事例をもとに解説していきます。
ネット上にはたくさんの大理石浴槽の情報がありますが、これを見れば浴槽の違いや大理石浴槽を傷めにくい取り扱い方法が分かります。
大理石浴槽といっても材質は様々で、取り扱い方法や価格は材質でまったく異なります。まずはポイントをまとめます。
- 【大理石・人造大理石・人工大理石の浴槽】の大きな違いは『天然』か『樹脂』か。
- どの材質でも洗剤は中性洗剤を使い、強くこすらない。
- 入浴剤は使えないものもあるので注意する。
- メーカー・価格・品揃え。大きな違いは『ユニットバス』か『在来浴室』か。
ネット情報や自己判断で誤った取り扱いをしたために、取り返しのつかない事態になったという方の話を何度も聞きました。
そうならないためには、しっかり材質を知ることが第一歩となります。
本文では、くわしく解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
大理石の浴槽のメリット・デメリットは?
大理石浴槽といっても、人工大理石や人造大理石も含まれていることがあります。
この違いってなんだろう?
その疑問にメリット・デメリットをあわせて解説していきます。
もっとも普及している【人工大理石の浴槽】
『大理石』と名前がついていますが、大理石風の見た目・肌触りに似せて人工的に作った浴槽です。
原料はアクリル(アクリルウレタン)系やポリエステル系などの樹脂で、その成分はメーカーや製品によって様々ですが、基本的に樹脂のみで成形されています。
実は主原料は樹脂【人造大理石の浴槽】
人造大理石=天然の大理石や鉱石と樹脂を混ぜて成形したもの…となっていることがありますが、実は違います。
一部メーカーのカウンターなどで『樹脂のみ=人工大理石』『天然石を混ぜた樹脂=人造大理石』と分けていることがありますが、浴槽を扱う大手メーカー(リクシル・トクラスなど)では樹脂のみで成形したものを『人造大理石』と表記しています。
樹脂製で『人工大理石』『人造大理石』が混在している理由は、メーカーでの呼び名が統一されていないことが原因です。さらにくわしく解説した人工大理石と人造大理石の違いについて解説!2022年保存版もあるので、参考にしてください。
浴槽素材の判断に迷うこともありますが、システムバスに採用されている浴槽は、樹脂製浴槽になることが一般的なので『人工大理石』と同じ掃除方法で行ってください。
天然石が含まれる場合はカタログにしっかり記載しているはずですが、不明な場合はメーカーに確認してくださいね!
自然岩を加工した【大理石の浴槽】
石灰岩(炭酸カルシウム)が主成分の自然岩を加工したものです。樹脂製とくらべると冷たいですが一度温まると冷めにくい素材で、固さもあります。
浴槽サイズの大理石となると貴重で非常に高価なものになりますが、天然ならではの質感はラグジュアリーな空間を演出します。
平板状の大理石をつないだり、タイルのように石張りしたものも『大理石の浴槽』になります。
FRP浴槽との違い
ユニットバスでの採用が多く、大理石浴槽とよく比べられるのがFRP浴槽です。
『FRP』とは『Fiber Reinforced Plastics』の頭文字をとったもので、繊維強化プラスチックのことです。エポキシ樹脂やフェノール樹脂を主原料としていて、広く浴槽に使われてきました。
人工(人造)大理石と比較するとやや軟らかい為に傷や汚れがつきやすく、透明感がありませんが、どちらも樹脂製です。
耐荷重・耐熱温度などは人工大理石とあまり差がなく、透明感や色・肌触りの違いで選ばれることが多いのですが、最大のメリットは価格が安いことです。
人工(人造)大理石浴槽の中にはFRPをメインに人工大理石層を重ねて成形している浴槽もありますが、一般的に表面(肌に触れるところ)の材質で区別されていますよ。
大理石の浴槽を掃除するポイント
CMで見るような市販の洗剤とスポンジを使えば大丈夫でしょ?
このように思われがちですが、実は材質によって掃除方法も使える洗剤も異なります。
誤った方法で続けていくと浴槽の質感が損なわれる場合があるのでくわしく解説していきますね。
- 人工大理石の浴槽掃除に注意することは
もっとも普及している人工(人造)大理石浴槽の掃除方法や、ポイントについて把握しましょう! - 大理石の浴槽掃除に注意することは
大理石浴槽・天然石が含まれている浴槽は特にデリケートです。掃除方法とポイントをおさえます! - 今人気の洗剤の利用について
『お風呂用・人工大理石使用可』と書いてあれば何でも使っていいのか?などの疑問も解決!
洗剤の注意点も要チェックです!
大理石の浴槽を掃除する方法やポイント、そして洗剤についてくわしく解説した記事はこちら≫【保存版】大理石の浴槽の掃除についてお手入れ方法をくわしく解説!になります。
大理石の浴槽は、材質によって掃除方法も使える洗剤も異なるので、しっかりとポイントを押さえておきましょう!
浴槽に傷がついたら補修できる?
長い年数使う浴槽なので、トラブルや誤った掃除方法で傷がつくことがあるかもしれません。
元通りにできたら・・・と思うものですが、補修はできるのでしょうか。
樹脂製と大理石で、違ってくるので解説していきます。
人工大理石の浴槽
補修できない場合が多いです。
人工(人造)大理石に使えるパテや補修材・コーティングは存在します。
しかし、高温多湿で肌に直接触れるという浴室ならではの特質上、一般的にメーカー側がお勧めすることはありません。
パテやコーティングで補修を行う場合は自己責任となることが一般的です。
入浴に危険があるような傷・破損は浴槽交換で対応していましたが、浴槽のみの交換ができない場合があります。
浴槽交換ができたとしてもパッキンやシールを一度はがすので完全に元通りにはならないこともあり、難しいものでした。
だからこそ、正しいお掃除と取り扱いで長く使っていきたいですね。
TOCLASのマットエクランなど、多少の傷をメラミンスポンジで目立たなくできる材質もあります!
大理石の浴槽
補修できる場合があります。
大理石は床材や壁材など、浴槽以外でも広く使用されており、その歴史はとても長いものです。
耐久性も樹脂製のものより高く、補修して長く使うことがあります。
そのため、補修キットが販売されていたり、プロが補修や研磨を行うこともあります。
大理石の浴槽で入浴剤を使うなら知っておくべきこと!
入浴剤を愛用している人はとても多く、いつもたくさんの質問をうけます!生活に根付いた入浴剤だけど、実はおすすめできない物もあるので、しっかりチェックしておこう!
とくに見落としがちなのは『給湯器』の存在です。
追い焚きができる給湯器を採用している場合、入浴剤が給湯器の故障の原因になる場合があります。
給湯器メーカーに確認したり、追い焚き(自動追い焚き)機能を止めて利用したほうが良いでしょう。
くわしく解説していきます。
人工大理石の浴槽で入浴剤を使うには
入浴剤は使用できますが注意が必要です。使用後はすぐに洗い流し、入浴剤の使用方法を守って使ってください。
材質によって違ってくるので、浴槽のメーカー(TOTO・LIXIL・クリナップなど)に問い合わせをしたほうが良いのですが、ここでは一般的に使える入浴剤・使えない入浴剤の見極め方を解説します。
使える入浴剤
- 浴槽の底が見える透明感のあるもの
- 中性のもの
使えない入浴剤
- 硫黄系、酸(炭酸系など)の入浴剤
- アルカリ系(重曹など)の入浴剤
- 溶剤、アルコール、オイル(アロマオイル)、塩分(バスソルト)を含む入浴剤
- お湯に溶けにくい入浴剤
大理石の浴槽で入浴剤は使えない?
大理石浴槽は成分に関わらず入浴剤の使用はおすすめしていません。
天然石を含む樹脂製浴槽は判断が難しいので、ここでは解説しません。浴槽のメーカーに確認してくださいね。
給湯器メーカーの見解
給湯器のメーカー3社(NORITZ・Rinnai・Paloma)の入浴剤についての見解を引用します。
3社以外にも給湯器メーカーはありますし、引用から分かるようにメーカーによっても入浴剤への回答は様々です。
追い焚き機能を使う場合は、給湯器メーカーの確認も忘れずに行ってから入浴剤の使用を検討しましょう。
【NORITZ(ノーリツ)】
■ご使用いただける入浴剤
・お湯に完全に溶けて、浴槽の底が見える程度の透明感のあるもの
・入浴剤のパッケージに
「ふろがまや浴槽をいためません。」
「全自動強制循環式ふろがまにもお使いいただけます。」
「ふろがまや浴槽をいためるイオウは入っていません。」
などの記載があるものをご使用ください。
記載のない場合は、入浴剤メーカー様にお問い合わせください。
説明書をよくお読みいただき、決められた濃度でご使用ください。
使用後は追いだき配管の洗浄をしてください。 追いだきができなかったり、異音がする場合は、すぐに使用を中止してください。
■ご使用できない、または注意が必要な入浴剤
・にごり湯系入浴剤
乳白色や白濁する入浴剤は「無機系酸化チタン」が含まれている場合があります。
この「酸化チタン」が研磨剤となり、繰り返し使用されますと給湯機器やふろがまの内部を劣化させたり、故障の原因になる可能性があります。
またジェットバスの場合、内蔵された「ろ過器」内で入浴剤が沈殿堆積すると、ろ過性能が低下する可能性があります。ご使用はお控えください。
・腐食性のある入浴剤
硫黄成分が入っているもの(温泉地などで売られている「湯の花」など)やソルト(塩)系の入浴剤を使用されますと、金属を腐食させる場合があり、給湯機器やふろがまの故障の原因となる可能性があります。ご使用はお控えください。
・発泡系入浴剤
炭酸ガスを発生させる入浴剤など、泡が循環経路に入りますと、異音が出たり、エアがみを起こして給湯機器やふろがまの循環機能が正常に働かなくなる可能性があります。
ガスが発生している間は「追いだき」をしないでください。またジェットバスの場合も、入浴剤の泡が配管経路に入り、異音が出たり、ポンプの能力が著しくダウンして故障の原因になる場合がありますので、完全に泡が消えてからジェットの運転を行なってください。
・牛乳やお茶、お酒などの飲料やゆずなどの食物を入浴剤として使用する場合
牛乳などの飲料、ゆずなど食物のカスは細菌、微生物のエサとなり、繁殖しやすくなります。
ご使用中は「追いだき」「保温」をしないでください。
ご使用後は、すぐに排水し追いだき配管内を洗浄することをおすすめいたします。
≪NORITZ公式HP,よくあるご質問≫
【Rinnai(リンナイ)】
入浴剤のラベルに風呂釜に影響を与えない旨の記載がある場合は、使用可能です
≪Rinnai公式HP,Q&A≫
【Paloma(パロマ)】
硫黄、酸、アルカリなどを含んだ薬用入浴剤、および湯に溶けない砂、泥などを含む入浴剤は内部の部品を損傷させることがありますので使用しないで下さい。
入浴剤の注意事項をご確認いただいた上でお使いください。
≪Paloma公式HP,よくあるご質問≫
大理石の浴槽を取り扱うメーカー
近年、施工性や断熱性などから、リフォームも新築も、ユニットバスが主流となりました。
ここではユニットバスのメーカーをメインに紹介していきます。
製造を取りやめたり、新規参入もあるので、2022年の一般的な国内メーカーを挙げます。
メーカー名 | 人工大理石の浴槽を扱うメーカー紹介 |
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TOTO (トートー) | トイレのイメージがあるかもしれませんが、ユニットバスを初めて造ったメーカーです(浴槽単品あり) |
LIXIL (リクシル) | 2011年にトステム、INAX 、サンウエーブ工業など5社が統合して誕生した業界大手です(浴槽単品あり) |
TOCRAS (トクラス) | 2013年にヤマハリビングテックから社名変更、国内初の樹脂大理石のカウンターを造ったメーカーです |
クリナップ | キッチンのイメージがありますが、横割り壁パネルを採用したユニットバスなど独自性のあるメーカーです |
Takara standard (タカラスタンダード) | 鋳物ホーロー・ステンレス・人工大理石など浴槽のラインナップが豊富なメーカーです(浴槽単品あり) |
Panasonic (パナソニック住宅設備) | 照明やブロー機能などユニットバスであっても機能面で強みのあるメーカーです |
Housetec (ハウステック) | 2009年に日立ハウステックから社名変更、YAMADAホールディングスグループ企業です |
積水ホームテクノ | 積水化学工業出資の住宅設備メーカー、ユニットバスの品揃えも多くバリアフリー分野でも有名です |
大理石の浴槽は価格もさまざま!
大理石の浴槽って価格はどのくらい?
とても多い質問ですね!でも実際のところ、説明が難しいです。というのも、ユニットバスの人工(人造)大理石浴槽の場合はセット価格になっています。車を購入するイメージと似ていますね!だから、浴槽自体がいくらかというのは説明ができないんです。
大理石浴槽の場合、石材屋さんに依頼するケースも多く、メーカー品のように価格が出せないこと、施工込みの値段になることなどから、参考価格でもなかなかお伝えしにくいのです。
工事を検討する場合、工事店に相談しながら見積をとることをおすすめします。
大理石浴槽で『天然』か『樹脂製』かを選ぶときの重要ポイント
名前も色も、とにかく沢山の種類がある大理石浴槽ですが、ポイントは『天然』か『樹脂製』か、ということです。
天然・樹脂・色・形…結局どれを採用したら一番いいの?と悩んでしまいますよね。それぞれの特性を充分に理解したうえで、使う人が気に入ったものを選んだら、それが正解です!
大理石浴槽を分かりにくくしているのは、同じ樹脂製でも『人工大理石』『人造大理石』と呼び名が違ったり、ネットで人造大理石への誤った情報があることです。
- 大理石=天然の岩を加工したもの
- 人造大理石=樹脂を成形したもの ※天然の大理石と樹脂を混ぜて成形したものを指すこともある
- 人工大理石=樹脂を成形したもの
人工大理石・人造大理石の材料である合成樹脂は石材や金属と比較すると歴史が浅く、これから扱いや名前に変化があるかもしれません。分かりにくい表現や取り扱い方法は、ネット情報ではなくメーカーに確認しましょう。
そうやって選んだ浴槽はどんな材質・形状であってもあなたの心と身体を癒す最高のものになるはずです。