- 御影石は高級なイメージがあるけれど、大理石との違いって何?
- キッチンカウンターは御影石のほうがいいのかな。
- 大理石と御影石の価格の違いはある?高級なのはどちら?
ミカゲ石って大理石とは違うの?
大理石と同じように人気のある建築石材ですが、大理石と御影石は違うものです。くわしく解説します!
日本の建築石材は、一般的に『御影石(みかげいし)』と『大理石(だいりせき)』の2種類に分けられますが、何が違うのでしょうか。
この記事ではインテリアコーディネーター目線から、建築石材としての大理石と御影石の違いを解説していきます。
御影石は、独特の柄・色があり、内装・外装に使える人気の石材です。
街中で目にすることも多く親しみのある石材なので、この記事を参考に検討してください。
大理石について詳しく解説した記事はこちら≫大理石の種類について解説!天然大理石のメリット・デメリットも紹介 を参考にしてください。
御影石には『白』と『黒』がある?種類と特徴について
御影石は、外構・外壁や墓石に使われることの多い石材ですが、キッチンカウンターや家具といったインテリア・内装装飾へ使われることもあります。
大理石や御影石の『冷たさ』を生かして、近年では、ペットに使うという新しいニーズも出てきました。御影石の空隙率(石の密度)を使用して騒音対策などで使われることもあります。
建築以外での御影石使用例
- 冷たさを求めてペットシート
- 適度な響音と振動の防止にオーディオボード
- レザークラフトなど作業時の騒音対策に打ち台・作業台
色々な形で親しまれる御影石とはどういった物なのでしょうか。くわしく解説します。
御影石の特徴とメリット・デメリット
御影石とは、マグマがゆっくり冷却することによって形成される結晶質の深成岩(しんせいがん)の総称
御影石は、マグマが地下深層部でゆっくり冷却することで形成された結晶性の深成岩です。
多くの場合、花崗岩(かこうがん)を指しますが、国内の建築・石材業界では花崗岩以外の深成岩も『御影石』といいます。
花崗岩以外を御影石という理由は、江戸時代に神戸市御影で加工された石が『御影石』として人気がでたため、御影石に似た上質の石にも『御影』の名前がつけられたことに由来するといわれています。
現在でも日本各地に御影石の産地があり、国内流通の20%ほどは国産のものです。
日本での主な産地
香川県・愛媛県・佐賀県・宮崎県・福島県・茨城県・島根県・広島県・岡山県・山梨県など
世界での主な産地
インド・ブラジル・ノルウェー・南アフリカ共和国・中国など
※そのほかにもアメリカ・東南アジアなど、多くの国から採石されています。
御影石のメリット・デメリット
御影石の種類と磨き方
御影石には、大きく分けて『白ミカゲ』『黒ミカゲ』『桜ミカゲ』『赤ミカゲ』といった種類がありますが、近代になって、海外から珍しい色の御影石も入ってくるようになりました。
ブルー・パープル・エメラルドのような色・木目のようなラインの入ったものなど、産地によって多くの色・模様がありインテリアのイメージに合わせて選ぶことができます。
一色にみえる御影石も、よく見ると粒状の模様があることが一般的です。
石の表面加工は『本磨き』『ジェットバーナー』などがあり、ツヤありやざらつきのある加工が用途によって選べます。
仕上げによって色合いが大きく変わって見えるので、可能であればサンプルをみて購入することをおすすめします。
御影石は外壁などの屋外にも使える石材
外壁・外構(玄関ポーチなど)屋外での使用は、御影石がおすすめ
解説したように、御影石のメリットは雨に強い・耐久性がある・風化しにくいなどがあり、大理石との一番大きな違いになります。
国内で採石され、耐久性があったことから名古屋城の石垣などにも使われてきた歴史があります。
現代でも屋外の建築石材(外壁材)として国会議事堂や最高裁判所などの有名建築物のほか、病院やオフィスビルなどにも広く使われています。
吸水率が高いため、寒冷地では中の水分が凍結・膨張してヒビなどの原因になることがあります。施工会社に相談して、採用を検討してください。
『大理石』と『御影石』の違いについて
『大理石』と『御影石』を建築石材として使う場合、どのような違いがあるのでしょうか。
性能の違いや検討する際のポイントを解説します。
大理石と御影石の違い
大理石
・砂・火山灰・生物の遺骸など自然物が押し固められてできた堆積岩(たいせきがん)
・堆積岩などが熱や圧力で変化し、新しい結晶や鉱物ができた変成岩(へんせいがん)
御影石
・火山内部のマグマが地下深くでゆっくりと冷えて固ってできた深成岩(しんせいがん)
御影石はマグマが固まってできた火成岩の仲間です。
大理石のように、生物の遺骸などからできた主成分が炭酸カルシウムの岩石とは違い、酸に強いことが特徴です。
大理石・御影石といっても種類が多く、石種によって強度や吸水率に差があるため簡単に比較はできませんが、それぞれの代表的な石材で特性をまとめます。
大理石(結晶性石灰岩) | 御影石(花崗岩) | |
---|---|---|
模様・柄の多さ | ◎(オーロラ・縞・網目など多い) | 〇(粒状の柄が一般的) |
硬さ | 〇(石材の中では軟質) | ◎ (硬い) |
空隙率(石に含まれる空気の密度) | ◎(少ない) | 〇(やや多い) |
吸水性 | 〇(染み込みやすい) | △(大理石よりも染み込む) |
耐雨性(酸への耐性) | △(雨で劣化する) | 〇(雨では劣化しにくい) |
耐熱性 | ◎(高い) | 〇(やや低い) |
耐久性 | 〇(石材の中では弱い) | ◎(強い) |
風化のしやすさ | △(風化する) | 〇(風化しにくい) |
大理石には『軟らかい』『劣化する』という欠点がありますが、御影石より弱く劣っているということではありません。
空隙率(石の密度)や吸水性は大理石の方が優れていて、建築構造物に使えるほどの強度は十分にあります。
大理石の劣化・風化は酸に弱いことが要因なので、屋内使用であれば強度にも問題なく使用できます。
大理石と御影石の見分け方
- 御影石は、粒状の模様になっていることが多い
- 大理石と御影石で模様が似ている場合は見分けることが難しい
御影石は、マグマが地下で冷え固まって結晶化しているので、波状やオーロラ状の模様ではなく、粒状の模様になっていることも大理石との大きな違いです。
多くの場合は柄・模様で見分けることができますが、現在は数百種類の石材が流通しており、大理石でも御影石に似た粒状の模様のものがあります。
人工大理石と違い、大理石と御影石は熱伝導率も大きな差が無いので、触っても分からないことがほとんどで、柄が似ている場合はプロでないと見分けがつきません。
見分けがつかない場合は、石材を扱う業者さんや建材メーカーに確認しましょう。
御影石はカウンターやテーブルにしてもいい?大理石との比較
キッチンカウンターや家具などは『大理石』と『御影石』どちらがいいの?
大理石と御影石、どちらかが屋内使用に優位ということは無く、それぞれにメリット・デメリットがあります。
採用する時に重視するポイントは好み・用途によって変わってくるので、比較検討しながら選びましょう。
大理石 | 御影石 | |
---|---|---|
メリット | ・色・柄が多い(高級感がある) ・耐熱温度が高い(800℃程度) | ・粒状の模様なので柄のバラつきが少ない ・酸・アルカリに強く劣化しにくい |
デメリット | ・柄のバラつきがある ・吸水性がやや高く、シミになりやすい ・酸やアルカリに弱い | ・吸水性が高く、シミになりやすい ・大理石より耐熱温度はやや低い(600度程度) |
耐熱温度は、空焚きの鍋の温度が300~360度・オーブンの最高温度が350℃なので、一般的な使用では御影石の耐熱温度でも十分といえます。
大理石をキッチンカウンターや内装へ採用する場合のメリット・デメリットは大理石のキッチンカウンターも参考にしてください。
大理石のおすすめの天然大理石の家具・インテリア雑貨はこちら≫Marblestを参考にしてみてください。
『Marblest』は、ヨーロッパから仕入れる良質な天然大理石を、国内で丁寧に加工したダイニングテーブルやリビングテーブルなどを扱います。
職人によって磨きこまれた大理石は、他の素材にはない上品な風合いが魅力的です。
御影石と大理石の価格について
- 一般的に、御影石のほうが産出量が多く、価格が低い
- 希少な色柄の御影石の一級品は、大理石以上に高価になる場合もある
大理石・御影石の値段は気候や時期によって品薄となったり、海外では採掘場が突然閉鎖されることがあり、安定しないと理解しましょう。
産地での自然破壊問題や社会情勢、文化などさまざまな背景が影響して採掘場や石の価格が変わってきます。
日本でも『御影石』の呼び名の由来になった六甲山の御影石(本御影)は昭和初期まで採掘されていましたが、六甲山が瀬戸内海国立公園の一部に含まれることになったため、採掘場が閉鎖されました。現在は採石量が極端に減り、価格が高騰しています。
石材を購入する場合の注意点
- 石によって吸水性や強度が違うので確認する
- 模様・色にバラつきがあることを理解する(色はできる限りサンプル品で確認する)
- 価格・在庫・納期の確認を事前に行う
天然素材の購入には注意点や気を配る点も多いのですが、人工物には出せない自然の美しさと存在感は格別です。
管理に手間がかかる分だけ愛着もわいてくるので、ぜひ採用を検討してください。
御影石と大理石は、どちらも素晴らしい天然素材
天然石を建築・インテリアに採用すると、価格も高くなり、お手入れに手間もかかりますが、その存在感や美しさは何ものにも代えがたい特別なものです。
どの石も、2つと同じ物の存在しない貴重なものでもあるので、それぞれの特徴を理解して検討しましょう。
御影石の特徴
- 国内産は20パーセントほど流通している
- 粒状の模様であることが多い
- 耐久性があり、劣化・風化しにくく、屋外での使用も可能
- 本磨き・ジェットバーナーなど仕上げの違いで色味が変わる
御影石と大理石は、岩石として形成されるまでの過程は違いますが、どちらも数十万年~数億年という非常に長い歳月をかけて自然によって生み出された美しいものです。
住空間や外構に採用することで、高級感を演出するだけでなく、自然美を感じ、心にゆとりあるライフスタイルをおくることができます。
家具やインテリア小物といった小さなものからでも、ぜひ暮らしに取り入れてください。